【初めての店舗開業】何から手をつける?失敗しないための準備リストと流れ

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「店舗開業をしたいけれど、何から始めるべきかわからない」。その答えは、まず「コンセプト設計」と「事業計画」を固めることから始まります。この記事では、店舗開業を成功に導くための土台作りから、オープンまでの具体的な10ステップ、そして失敗しないためのポイントまでを網羅した「準備リスト」をご紹介。この流れに沿って進めれば、初めての方でも安心して開業準備を進められます。

店舗開業で後悔しないために。まず固めるべき2つの土台

店舗開業の準備というと、すぐに物件探しや資金調達をイメージするかもしれません。しかし、その前に必ず固めておくべき「土台」があります。それが、お店の魂となる「コンセプト」と、夢を現実にするための設計図である「事業計画」です。この土台が曖昧なまま進んでしまうと、途中で方向性がブレてしまい、後悔の原因になりかねません。ここでは、開業準備の第一歩となる最も重要な2つの要素について解説します。

(1) お店の魂を決める「コンセプト設計」

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コンセプトとは、一言でいえば「どんなお店にしたいか」という骨格の部分です。誰に、何を、どのように提供して喜んでもらいたいのか。このコンセプトが明確であればあるほど、内外装のデザイン、メニュー構成、価格設定、接客スタイルといった、お店に関わるすべての要素に一貫性が生まれます。

コンセプトを考える際は、「5W2H」のフレームワークで考えると整理しやすくなります。

Why:なぜこのお店を開きたいのか? (お店の理念や目的)

Whom:どんなお客様に来てほしいのか? (ターゲット層)

What:何を提供するのか? (主力商品やサービス)

Where:どこで開業するのか? (立地やエリア)

When:営業時間はいつか? (営業時間、定休日)

How:どのように提供するのか? (お店の雰囲気や接客)

How much:いくらで提供するのか? (価格帯)

これらを具体的に書き出してみましょう。

コンセプトは、お店のあらゆる判断を下す際の「羅針盤」となる、最も重要な要素です。これがしっかりしていれば、内装業者との打ち合わせでも具体的な要望を伝えやすくなります。

(2) 夢を現実に変える「事業計画」

コンセプトという「想い」を、具体的な「数字」や「計画」に落とし込むのが事業計画です。これは、夢物語で終わらせないための、いわばお店の経営設計図と言えるでしょう。特に、金融機関から融資を受けて開業する場合は、この事業計画書の提出が必須となります。

事業計画では、主に以下の点を明確にしていきます。

開業資金(イニシャルコスト):物件取得費、内装工事費、厨房機器や什器の費用、当面の運転資金など、開業までに「何に」「いくら」必要なのかを詳細に洗い出します。

資金調達計画:開業資金を、自己資金でどれだけ用意し、どれだけを融資などで調達するのかを計画します。

収支計画(ランニングコスト):開業後の売上予測や、家賃、人件費、原材料費などの経費を計算し、どれくらいの利益が見込めるのかをシミュレーションします。

 特に、開業時に必要な「開業資金」と、開業後に必要となる「収支計画」は、金融機関から融資を受ける際にも必ず必要となる重要なポイントです。「資金がいくら必要か不安」と感じている方こそ、この事業計画を具体的に作成することで、必要な金額ややるべきことが明確になります。

【チェックリスト】店舗開業までの具体的な10ステップと流れ

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コンセプトと事業計画という土台が固まったら、いよいよオープンに向けて具体的な準備を進めていきましょう。ここからは、店舗開業までの流れを10のステップに分けて解説します。業種や状況によって順番が前後することもありますが、大まかな流れとして掴んでいただき、ご自身の準備のチェックリストとしてご活用ください。

ステップ1:資金計画と資金調達

事業計画で算出した必要な資金を、実際に準備するステップです。全てを自己資金でまかなえれば理想的ですが、多くの場合、融資を受けることになります。主な資金調達先としては、自己資金のほかに以下のような方法があります。

日本政策金融公庫:政府系の金融機関で、創業支援の融資制度が充実しており、多くの起業家が利用します。

制度融資:地方自治体、金融機関、信用保証協会が連携して行う融資制度です。

補助金や助成金:国や地方自治体が提供するもので、原則として返済不要という大きなメリットがあります。

融資の相談や申請は、物件の契約前に行うのが一般的です。審査には時間がかかるため、開業を決意したら、なるべく早い段階で金融機関の窓口に相談に行くことをおすすめします。

ステップ2:物件探しと物件契約

お店の顔となる物件探しは、売上を左右する非常に重要なステップです。コンセプトに合った客層が見込めるエリアか、駅からの距離や人通りはどうかなど、様々な角度から検討しましょう。

物件には、以前のお店の内装や設備が残ったままの「居抜き物件」と、何もない状態の「スケルトン物件」があります。居抜きは初期費用を抑えられるメリットが、スケルトンはデザインの自由度が高いメリットがあります。

また、電気・ガス・水道などのインフラ設備が、計画しているお店の規模に見合っているかも必ず確認が必要です。飲食店、美容室、ベーカリー、洋菓子店の場合は、電力容量や給排水設備、ガス容量、排気設備が重要になります。

契約は後戻りできない重要な判断です。必ず融資の目処を立て、専門家にも相談しながら慎重に進めましょう。時間帯や曜日を変えて何度も現地に足を運び、周辺の環境を自分の目で確かめることも忘れないでください。

ステップ3:内装デザイン・設計業者の選定

コンセプトを理想の形にしてくれる内装業者は、開業における最も重要なパートナーです。「理想のデザインを実現してくれるか」「話をしっかり聞いてくれるか」といった不安を解消するためにも、慎重に選びましょう。 業者を選ぶ際は、以下のポイントを確認することをおすすめします。

施工実績:自分が作りたいお店の業種やデザインテイストに近い実績が豊富かを確認します。

担当者との相性:こちらの想いや要望を親身に聞いてくれるか、話しやすい雰囲気かは非常に重要です。

提案力:要望をただ形にするだけでなく、プロの視点からより良いアイデアを提案してくれるかも見極めたいポイントです。

見積もりの透明性:見積書の内訳が詳細で分かりやすいか、不明な点について誠実に説明してくれるかを確認しましょう。 いくつかの業者に相談し、相見積もりを取るのが一般的です。

価格だけで選ぶのではなく、信頼して長く付き合えるパートナーとなり得るか、という視点で選ぶことが成功の鍵です。

ステップ4:店舗デザインの打ち合わせ

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信頼できるパートナーが決まったら、いよいよ店舗デザインの具体的な打ち合わせに入ります。ここでは、最初に固めたコンセプトを基に、お店の設計図を詳細に作り上げていきます。 打ち合わせをスムーズに進めるために、理想のお店の雰囲気が伝わる写真や雑誌の切り抜き、Webサイトの画像などを用意しておくと良いでしょう。視覚的なイメージを共有することで、業者との認識のズレを防ぎます。

打ち合わせでは、主に以下のような点を決めていきます。

店舗レイアウト:お客様の動線、スタッフの作業動線を考慮した客席や厨房、バックヤードの配置。

内外装のデザイン:壁や床、天井の素材や色、看板や入り口などの外観。

設備計画:照明、空調、コンセントの位置など。

家具や什器の選定:テーブルや椅子、陳列棚などのデザインや配置。

言葉だけでは伝わりにくいイメージも、写真などを見せることで正確に共有でき、理想の空間づくりに繋がります。予算を正直に伝えた上で、限りある資金の中で何が実現できるのか、プロの提案を積極的に引き出しましょう。

ステップ5:内装工事と現場確認

設計図が完成し、工事請負契約を結んだら、いよいよ内装工事のスタートです。工事期間は店舗の規模や内容によって異なりますが、一般的には1ヶ月から2ヶ月程度かかります。 工事が始まったら、業者に任せきりにするのではなく、可能な範囲で定期的に現場へ足を運び、進捗状況を確認することをおすすめします。

現場で実際に空間を見ることで、図面だけではわからなかったコンセントの高さや棚の奥行きなど、細かな点の使い勝手に気づくことがあります。工事の段階によっては軽微な変更が可能な場合もあるため、気になることがあればすぐに現場監督や担当者に相談してみましょう。

図面と実際の空間とでは、印象が異なることも少なくありません。定期的に現場を確認し、気になる点があれば早めに相談しましょう。ただし、現場では安全第一で、職人さんの作業の邪魔にならないよう配慮することも大切です。

ステップ6:厨房機器・什器・備品の選定

内装工事が進んでいる間に、店内で使用する設備や家具、備品などを選んで発注を進めていきましょう。これらはオープンまでに揃える必要があるため、納期を確認しながら計画的に手配することが重要です。 主に選定が必要なものは以下の通りです。

厨房機器(飲食店など):コンロ、オーブン、業務用冷蔵庫、製氷機、シンクなど。

什器(じゅうき):お客様が使うテーブルや椅子、商品を並べる陳列棚、レジカウンターなど。

備品類:食器や調理器具、POSレジシステム、電話、BGM用の音響機器、メニューブック、観葉植物など。

これらの選定にあたっては、お店全体のデザインやコンセプトとの統一感を意識することが大切です。また、新品だけでなく中古品やリースを利用することで、初期費用を抑えるという選択肢もあります。

特に高額な厨房機器や什器(じゅうき)は、予算とデザイン、機能性のバランスをよく考えて選ぶ必要があります。

ステップ7:各種許認可・資格の届出

お店をオープンするには、法律で定められたさまざまな資格や許認可が必要です。これらは業種によって大きく異なり、届出を忘れると営業停止などの罰則を受ける可能性もあるため、必ず確認しましょう。 代表的な許認可・届出には以下のようなものがあります。

飲食店:保健所への「飲食店営業許可」の申請、店舗に「食品衛生責任者」を置く義務。

深夜にお酒を提供する店:警察署への「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」の提出。

美容室や理容室:保健所への「美容所(理容所)開設届」の提出、店舗に「管理美容師(管理理容師)」を置く義務。

共通:税務署への「開業届」、収容人数によっては消防署への「防火対象物工事等計画届出書」など。 これらの申請は、内装工事が完了しないと手続きできないものも多く、取得までに時間がかかる場合もあります。

必要な許認可は業種によって大きく異なるため、必ず管轄の保健所や警察署、消防署などに事前に相談しましょう。

ステップ8:メニュー開発と仕入れ先の確保

内装工事や各種手続きと並行して、お店の核となる商品やサービスの準備も進めます。飲食店であれば具体的なメニュー、小売店であれば仕入れる商品を最終的に決定し、そのための仕入れ先を確保する重要なステップです。

メニューや商品を考える際は、設定したコンセプトやターゲット顧客のニーズに合っているかが大前提です。その上で、原価をきちんと計算して適切な販売価格を設定し、お店の看板となる「名物メニュー」や「売れ筋商品」を何か一つでも作れると強みになります。

そして、その商品やサービスを提供するために不可欠なのが、食材や商品を安定的に供給してくれる仕入れ先の存在です。インターネットで探したり、展示会に足を運んだり、同業者から紹介してもらったりと、様々な方法で複数の候補を見つけ、品質や価格、配送ロット、支払い条件などを比較検討して契約しましょう。

お店のデザインや雰囲気が良くても、提供する商品やサービスに魅力がなければリピーターは生まれません。じっくりと時間をかけて、お客様に喜んでもらえるものを作り上げましょう。

ステップ9:スタッフの採用と教育

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一人ですべてを運営するのか、スタッフを雇うのかによって、このステップの重要性は変わりますが、人を雇う場合はオープン日から逆算して計画的に進める必要があります。 求人媒体への掲載から面接、採用、そして研修までを考えると、遅くともオープン予定日の1〜2ヶ月前には採用活動をスタートさせたいところです。

採用の際は、経験やスキルだけでなく、お店のコンセプトに共感し、一緒に良いお店を作っていきたいと思える人柄かどうかも重要な判断基準となります。 採用後は、オープンに向けて研修を行います。お店の理念や接客方針を共有し、具体的な業務内容を覚えてもらわなくてはなりません。

可能であれば、オープン前に友人などを招いて模擬営業を行う「プレオープン」を実施すると、実際のオペレーションの課題が見つかり、スタッフの習熟度も高まるためおすすめです。

スタッフの接客レベルや雰囲気は、お店の評価に直結します。オープン当初から質の高いサービスを提供できるよう、しっかりと準備しましょう。

ステップ10:集客・販促活動

どんなに素晴らしいお店が完成しても、その存在を知ってもらえなければ、お客様は来てくれません。集客・販促活動は、オープン日が決まったらすぐにでも開始しましょう。 最近では、オープン前からSNSを活用して準備の様子を発信し、オープンへの期待感を高めていく手法が効果的です。

【オンラインでの販促例】

・SNS(Instagram、Xなど)でのアカウント開設と情報発信

・Googleビジネスプロフィールへの登録(地図に表示されるため必須)

・ホームページやブログの開設

【オフラインでの販促例】

・オープン告知チラシの作成とポスティング

・近隣の住民やオフィスへの挨拶回り

・オープニング記念イベント(割引キャンペーンやノベルティ配布など)の企画

オープン前から情報を発信し続けることで、開店を心待ちにしてくれる「未来のお客様」を育てることができます。

ターゲットとするお客様に届く方法で、あなたのお店の魅力を伝えていきましょう。

初めての店舗開業で失敗しないための3つのポイント

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ここまで店舗開業までの具体的なステップをご紹介しましたが、最後に、特に初めての開業で失敗しないために押さえておきたい3つの重要なポイントを解説します。順調なスタートを切り、長く愛されるお店を続けていくために、ぜひ心に留めておいてください。

1. 資金計画には必ず余裕を持たせる

店舗開業の失敗原因として最も多いのが、資金繰りの問題です。多くの方が開業時に必要な「初期投資」にばかり気を取られがちですが、本当に重要なのは開業後の「運転資金」です。 お店はオープンしてすぐに経営が軌道に乗るとは限りません。売上が安定しない間も、家賃や人件費、仕入れ費などの支払いは毎月発生します。カツカツの資金計画で開業してしまうと、少し売上が足りないだけですぐに経営が立ち行かなくなってしまいます。

開業資金とは別に、最低でも3ヶ月分、できれば半年分の運転資金は手元に残しておくように計画しましょう。この余裕資金があるという事実が、精神的なお守りにもなります。

2. 信頼できるパートナー(内装業者など)を見つける

店舗開業は、決して一人だけで成し遂げられるものではありません。様々な専門家の協力が必要不可欠ですが、中でも内装業者や設計会社は、あなたの想いを形にし、多くの予算を預けることになる最も重要なパートナーです。

ただデザインが良い、価格が安いという理由だけで選ぶのは危険です。あなたの事業に真剣に寄り添い、予算内で最高のパフォーマンスを発揮しようと努力してくれるか。そして、開業後のメンテナンスなど、長く付き合っていける相手かどうかを見極めることが大切です。

良いパートナーは、あなたの想いを形にしてくれるだけでなく、時には専門家として的確なアドバイスもくれる、成功への伴走者となります。

信頼できる相談相手を見つけることが、失敗しないための大きな一歩です。

3.一人で抱え込まず専門家に相談する

開業準備を進めていると、資金調達、物件契約、法律の手続き、デザイン、工事、集客と、本当に多くの課題が出てきます。これらすべてを、本業の傍らや、初めての経験の中で完璧にこなすのは至難の業です。

それぞれの分野には、その道のプロがいます。資金繰りなら税理士や金融機関、物件探しなら不動産業者、そしてお店作りなら私達のような内装業者です。分からないこと、不安なことを一人で抱え込んでしまうと、時間だけが過ぎていったり、間違った判断をしてしまったりする可能性があります。

一人で悩んでいる時間は非常にもったいないものです。早めに専門家に相談することで、時間と労力を節約し、より本質的なお店のコンセプトやサービスを考えることに集中できます。相談することは、成功への一番の近道だと考えてください。

まとめ:計画的な準備で、理想の店舗開業を実現しよう

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今回は、初めて店舗を開業する方に向けて、何から始めるべきか、その具体的なステップと失敗しないためのポイントを解説しました。

開業準備はやるべきことが多く大変ですが、一つひとつのステップを着実にクリアしていくことが、理想のお店を実現する唯一の道です。 何よりも大切なのは、あなた自身の「こんなお店を作りたい」という熱い想いです。

そして、その想いを実現するためには、しっかりとした計画と、信頼できるパートナーの存在が欠かせません。もし店舗づくりで少しでも不安なこと、分からないことがあれば、一人で悩まず、ぜひ私たちのような専門家にご相談ください。

あなただけの素敵なお店が、お客様の笑顔で溢れる日を心から応援しています。

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