築46年の建物を入浴付デイサービスにしたいという、設計デザイン施工のご依頼をお受けしました。カラオケ、電子ゲームをして過ごす楽しそうなデイサービスです。
現在の居宅介護事業所の近所で探しており、他には物件が無いとのことでした。

県の条例等を確認すると古い建物では開設できない可能性があり、行政に相談するところから始まりました。
今回は平屋で使用人数が少ないので、建物が違反建築ではないこと、市の設備基準をクリアすれば開設できる事を確認し、設計を進める事が出来ました。
設備基準は行政によって異なり、この地域では通路として使われるスペースは、機能訓練室の面積から減らし、その分利用者数も減らさなければなりません。いかに機能訓練室の面積を広く取り、廊下の面積を狭くして使い勝手を良くするかが課題となりました。

物件は合気道の道場で使われており、元々倉庫として作られているので、作りが簡素で壁天井ともに薄く、断熱性もありません。このままでは夏は暑く、冬は寒く、お年寄りが快適に過ごす環境ではないため、既存壁の周囲に内壁を作り、断熱材を入れることにしました。そのため施工性断熱性は上がりますが、その分部屋の面積は狭くなります。

また元々トイレ、更衣室の床が全体よりかなり上がっていたので、フラットにするためには、ユニットバスを設置する土間コンクリートを全体よりも下げて打つ必要がありました。スロープや段差を作ると機能訓練室が狭くなり利用者数が減りますし、使い勝手も悪くなります。既存のトイレは、作りからいって倉庫の時にはなく、道場の時に造作したものだろうと確信していましたが、元々の図面も写真もなく、床下に何が隠れているかは、掘ってみないとわかりませんでした。ひとまずフラットに出来ると仮定して、打合せを重ねてレイアウトを完成させました。

部材発注後にレイアウトの大幅変更はできないため、まずは解体した結果、今回は問題なくご希望のレイアウトで施工を進める事ができました。新築ではあらかじめユニットバス部分の地盤を低くする事が可能ですが、時間も限られていて見えないことの多いリフォーム物件の店舗工事では、状況に合わせて変更していくことが必要となり、お客様にもご理解を頂いております。

内装デザインはお客様のご希望の木目と黒のイメージでコーディネートしました。入り口付近は天井が高く、ランダムな多角形の木目パネルを組み合わせたようなイメージのクロスが目を引きます。外部も屋根と外壁を塗装して、見違えるように綺麗になりました。

ご依頼内容:デイサービスのデザイン・設計・施工
物件内容:軽量鉄骨造1階  90.72m2 / 27.4坪
竣工:2024年9月